無残に蹴り倒された教室のドア。
そのドアの向こう側に、無言で立っているのは、
「イ・・・、イズミ先生・・・!」
3年A組担任、イズミ・カーティス先生だった。
イズミ先生は、体育教師であるためかどうかはわからないのだが、とにかくすごいという話である。
一番よく聞く伝説は、自分の教え子が他校の不良に絡まれたとき、単身で乗り込み、
ボコボコにして帰ってきたという、最凶伝説である。
そして今、そのイズミ先生が教室の前方で、怒りのオーラをムンムンに出しているわけである。
「おい、エド」
いつもより少し低い声で、イズミ先生は口を開く。
エドが、顔が真っ青になっている。
「おまえ・・・、今が何の時間だか言ってみろ」
イズミ先生が仁王立ちで聞いてくる。その表情は、陰になってしまってわからない。
「え・・・、えっと・・・。ホームルーム・・・です・・・?」
「何で疑問系なんだ!!!!」
「ホ、ホームルームです!!」
イズミ先生の活で、背筋をピンッと伸ばすエド。
そんな担任を生徒は白い目で見るが、少し同情もしてしまう。
ロイ君があんなこと言わなければ、こんなことにもならなかったのに、と。
だがそんなことはまったく知らないイズミ先生は、問答無用でエドを問いただす。
「よーくわかってるな、エド。だったらおまえはなんで・・・・・・」
「ひぃっ・・・・・・」
ゆっくりと顔を上げたイズミ先生の顔に、小さく悲鳴を上げるエド。
その顔は・・・・・・、
まさしく鬼という顔だった。
「なんでこんなに騒がしくしてんだ!!!!」
そこからの状況は、まさに地獄。
イズミ先生は背負い投げの要領でエドを投げ飛ばし、邪魔な机も投げ飛ばし、
暴れまくった。
そしてその結果が――
エドの気絶だったわけである(生徒には死んだとされていた)。 |