※セカンドシーズンの設定ですが、ニールがいます。 ニールは霊的なものだけど、みんなに見えてると思ってください! アレティエ、ロク刹、ティエリア←リジェネ、ブリング←リヴァイヴ←デヴァインです。 苦手な方はご注意ください。(ギャグです)
「せーつな」
「ニール・・・何か用か」
刹那・F・セイエイは、目の前にいる4年前に死んだはずのニール・ディランディを見て、
思いっきり顔をしかめた。
だがニールはニヤニヤとしながら刹那に話しかける。
「つれないことを言うな、刹那ぁ。ホラ、もうバレンタインだろ?チョコくれよー」
だが刹那は顔も上げず、
「何言ってんだ。もう2日遅れだぞ」
と冷静に返す。
「それ言うのやめといてあげろよ」
ニールのフォローは聞こえなかったことにして、刹那は顔を上げた。
「なにがバレンタインだ、古臭い。だいたいなんで男が男にチョコあげるんだ」
「そりゃあ・・・刹那だから?」
「意味わからん」
刹那は近くに置いてあった本で思いっきりニールの頭をぶん殴る。
ちなみになぜかこのニール、4年前に死んだはずなのにいるという、いわゆる霊的なものなのである。
しかもタチの悪いことに、触ったりしゃべったりもできるし、
他のクルーみんなとも会話ができると言う、なんだか困った霊なのである。
「刹那ー、チョコくれよチョコー」
「うるさい。チョコぐらい自分で買え」
「えー、刹那からもらったものがいいー」
チッ、と軽く刹那は舌打ちをする。もうニールはテコでも動かない。こうなったら・・・
「あのなニール。なんでオレがチョコをあげないって言ってるかわかるか?」
「え?なんで?」
「少しは自分で考えろ、このジャガイモ男。
それはだな、ニールからもらったものを、オレが食べたいからに決まってるだろ」
本当はあげるのが面倒なだけだが、もっともらしい理由のおかげで、ニールはコロリとだまされる。
「刹那・・・、それほどまでにオレのことを・・・」
「ああ。(何言ってんだ、コイツ)」
「刹那、必ずチョコあげるからな!!」
人って単純。
刹那は、またひとつ賢くなった。
刹那がブリッジに行くと、そこは学校の休み時間だった。
「スメラギさんって、誰かにチョコあげるんですかー?」
「フェルト、だったら私にチョコあげる相手紹介してちょうだい」
「すっ、すみません、イアンくらいなら・・・」
「フェルトは私のことバカにしてるのかしら?」
「ミ、ミレイナは!?誰かに上げるの? やっぱりイアン?」
「違うですー。私はアーデさんにあげるですー!」
「へー、ティエリアに?」
「はいです!」
「フェルトは?ニール?」
「えっ・・・違います、全然。やっぱり感謝の気持ちこめて、イアンとかハロに・・・」
「ふーん・・・。じゃあ私は、ラッセにでもあげるかな」
なんだこの会話・・・。
刹那は顔をしかめてスメラギ、フェルト、ミレイナの3人を見ている。
「あら、刹那」
スメラギが刹那に気づいて、手をひらひらと振ってくる。
「刹那、刹那は誰かにチョコあげたりする?」
「なんだオレが」
「あげないの?」
「ああ」
「知ってる?今年は逆チョコがはやってるのよ?」
「それはオレに何を期待してるんだ・・・?」
しつように迫ってくるスメラギから視線をはずしながら、刹那は答える。
「つまんないわねー、刹那は何もあげないの?」
「ああ。今年はニールからもらう」
「へー。頭使ったわねぇ」
スメラギがニヤニヤして刹那を見つめる。
とそこへ、アニュー・リターナーが入ってくる。
「楽しそうですね、皆さん。何のお話ですか?」
「んー?バレンタインよ、バレンタイン」
軽く微笑みながら聞いてくるアニューに、スメラギは人差し指を立てて説明した。
「誰が誰にチョコをあげるかって話をしてただけ」
「そうですか」
「リターナーさんがチョコあげるのって・・・」
フェルトは言いかけて言葉を切った。
どうせ答えはアイツだ、とブリッジにいる全員が一瞬でそう悟った。
そしてアニューの答えは、その予想通りで・・・。
「あ、ラ、ライルに、あげるんです。今年はちょっと頑張って、手作りに挑戦して・・・」
「やーねぇ、ノロケ?」
軽く額に血管を浮かばせながら、スメラギは笑う。
その気迫に、フェルトは1歩後ろへ身を引く。
そのとき入ってきたのが噂の男、ライル・ディランディだった。
「へぇ、アニュー、オレに手作りくれるのか」
「や、やだ、何で聞いてるのよ。ビックリさせようと思ったのに・・・!」
「別にいいんだよ、アニュー」
コイツら、何イチャイチャしてんだよ。
ブリッジ全員の気持ちがひとつになる。
そして、また入ってくる影が2人。
「ねえティエリア~、チョコ欲しいよ、チョコ~!」
「それくらい自分で買え!!」
アレルヤ・ハプティズムと、ティエリア・アーデであった。
アレルヤとティエリアは入ってくるなり、チョコ欲しい、くっつくな!と、騒いでいるのである。
「聞いてください、スメラギさん!ティエリアったら、僕にチョコくれないって言うんですよ!!」
「それは私にどういう返答を期待しているの?」
ニコニコと笑いながら、目は1ミリも笑っていない。
スメラギの限界だった。
「まったく、私三十路越えてんのに・・・!!なんかそういう恋愛キャラいないじゃん、私に!!
いるとしたらあのポニテメガネだけだし・・・!!!!ホンットイヤになるわ!!」
スメラギはそういうと、近くにおいていたビールの缶を開けた。
「スッ、スメラギさん!それ以上飲んだら、肌が・・!!」
「うるっさいわね!どうでもいいでしょ!!」
「ああああああーーー!!!」
スメラギを必死で止めようとするフェルトから視線をはずすと、次に刹那の目に飛び込んでくるのは
ノロケている2人で。
「アニュー、オレにどんなチョコくれんだ?」
「ええ・・・。まだよく決めてないけど、ハート型のチョコか、トリュフ・・・かな」
「ウェディングケーキでもいいんだぜ☆」
「も、もお、ライルったら!!恥ずかしい!!」
なんかイラッとするのはなぜだ・・・。特にあの星(☆)が・・・。
そして最後はアレルヤとティエリアの言い争いで。
「ティエリアー!!欲しい欲しい欲しいー!!!」
「だあああああ、うるせえええ!!!ほら、板チョコやるから向こう行けぇ!!!」
「ティエリアひどーい!!!」
刹那は、天井を仰ぎながら思った。
ああ。
人間というものは、ここまで愚かになれるのか。(1人人間じゃねーけど)
刹那は、自分が人間なのが、少しいやになった。
~オマケ~ イノベイターのバレンタイン
「ねえー、リボンズ~、ハッピーバレンタインー!!チョコ作ったの!食べて食べて~!!」
「ありがとうヒリング。うれしいよ」
「あはっ」
ヒリング・ケアは、自分の片割れであるリボンズ・アルマークに手作りチョコを渡していた。
「にしてもヒリング。少し発想が古くないかい」
「えー、そうかしらー?」
「うん。でもまあ、たまにはいいかもね」
「でしょでしょ!?たまにはいいよね!?」
「そうだね」
ニコニコと笑うヒリングから少し視線をはずしてリボンズは尋ねる。
「ときにヒリング。アレはなんだい?」
「え?」
リボンズが指差す方向を見たヒリングは、半笑いになる。
「ああ・・・、アレ?アレはさ、ちょっとね」
2人が見つめる先には、リジェネ・レジェッタがいた。
リジェネは一心不乱にチョコレートを作っている。
「なーんかさ、ティエリア・アーデがこっちにきたら、食べさせてあげるらしいよ」
「へえ・・・」
リジェネはブツブツいいながら、手を動かしている。
「ティエリアはなんていうかな、このチョコに。すごーい、おいしそうとか言ってくれるかな・・・。」
そんなリジェネを見て、そのあとすぐリボンズはヒリングに向き直る。
「リジェネはティエリア・アーデが僕たちと敵対したって、知らないのかい?」
「さあ?知ってんじゃない?ていうか、もし来てもバレンタイン終わってるって考えないのかしら」
「さあね・・・。て言うか実際、終わってるじゃないか」
「リボンズ、それ言うのやめてあげて。 ま、あの子変わってるから」
ヒリングはそう締めくくると、リボンズの手を引いてソファーに座る。
「もう1つ聞いてもいいかい、ヒリング」
「なぁに?リボンズ」
ヒリングのほうを見ないで、遠いところを見ながら、リボンズは話しかける。
「あの子達は、何をしてるんだい?」
「え?」
リボンズが見つめる先には、リヴァイヴとブリングがいた。
「まったく、アニューはあんな軟弱な男に・・・!!」
「どうかしたのか、リヴァイヴ?」
「いえ、なんでもないですよ、ブリング。
さ、これ、私からのチョコレートです!食べてください!」
「ありがとう、リヴァイヴ」
「ちょっと待て!!!」
「「!?」」
「リヴァイヴ・リバイバル!!君はブリングにはチョコをあげるのに、私にはくれないのか!!」
「何言ってんですか!!」
「アイツら・・・ガチホモ?」
ヒリングは軽く引き気味だったが、リボンズはさして気にしていないようにも見える。
「まあヒリング。愛の形は人それぞれなんだよ」
「そっか、そうよね・・・、って何イイカンジでまとめようとしてるの、リボンズ!!」
「チッ」
「チッって聞こえた!!今チッって聞こえた!!」
リヒングはツッコミながら空を仰ぎ、思った。
ああ。
イノベイターも、ここまで愚かになれるのね。
ヒリングは、自分がイノベイターなのが、ほんの少しだけ、いやになった。 |