戦隊モノパロ 5

 

「はぁっ、はっ・・・。 くっ・・・」
 
ティエリアは、息を切らしながら、恨めしそうにロックオンと刹那を見上げた。
 
「さあ、これでもう反撃はできねえだろ・・・?腹くくれよ、ティエリアさんよ」
 
ロックオンは倒れているティエリアに銃口を向けると、傷だらけの顔で小さく笑った。
 
「もう諦めな。諦めて、悪の組織の居場所を吐いちまえよ」
 
「・・・・・・断るっ・・・」
 
ティエリアは、銃口にもひるまず、不敵に笑う。
 
そんなティエリアを見てから、刹那とロックオンは顔を見合わせ、それからロックオンは銃をおろす。
 
「・・・!」
 
「やれやれ、頑固だねえ」
 
ロックオンはそう言って笑うと、刹那とともに、ティエリアに背中をむけ歩き出す。
 
「・・・待て・・・!どういうことだ、見逃すなんて・・・!」
 
「殺しはしねえよ」
 
ロックオンは振り返ってそう呟くと、歩いていってしまった。刹那も一緒に。
 
「・・・・・・」
 
情けをかけられた、この僕が・・・!
 
ティエリアは悔しい気持ちでいっぱいになりながら、ゆっくりと立ち上がり、ロックオンたちとは反対方向へと歩いていった。
 


 

「・・・・・・ロックオン」
 
「なんだよ?」
 
ロックオンは、こちらを見上げている刹那に、あえて目を合わせないようにしながら聞き返した。
 
「・・・なぜ、ティエリア・アーデにとどめをささなかった?」
 
「・・・・・・言ったろ。殺しはしねえんだよ」
 
「・・・・・・」
 
刹那は、ロックオンのあとを、黙ってついていった。


 
 
「くっ・・・!」
 
ティエリアは、痛む体を抑えながら、あてもなく歩いていた。
 
ヴェーダに・・・、ヴェーダになんて言えばいい・・・?
 
頭の中は、ずっとそのことでいっぱいだった。
 
ヴェーダ・・・!
 
何度目かわからない同じ思考が頭をかすめたあと、ティエリアはその人を見つけた。
 
「・・・ヴェー・・・ダ・・・?」
 
ティエリアはヴェーダを見つけると、だっと走り出した。
 
「ヴェーダ・・・、どうして、ここに・・・!」
 
「ティエリア」
 
ヴェーダはティエリアの言葉をさえぎると、ティエリアに、バズーカの銃口を向けた。
 
「・・・ヴェーダ?」
 
ティエリアの顔が、みるみるこわばっていく。
 
「ティエリア。役立たずには用はないんだ」
 
「・・・・・・・え」
 
ティエリアは、言っている意味が理解できなかった。
 
用はない・・・?ヴェーダが?僕に?もう、用はない・・・?
 
「ヴェ、ヴェーダ!」
 
ティエリアはヴェーダの意見が覆られないかと、必死に声を大きくして叫ぶ。
 
「ヴェーダ、待ってください!次は、次は成功します!次は、ソレスタルビーイングを――」
 
「言っただろう」
 
ヴェーダは、バズーカのトリガーをひいた。
 
「役立たずに、用はない」
 
ティエリアは、あふれだす光を、ただ呆然と見てるしかなかった。
 
死ぬのか・・・?
 
その一言が、頭をよぎった。 けれど、動くこともできない。
 
僕は・・・僕は・・・!
 
すっと目を閉じた。
 
せめて逝くなら、無駄な抵抗など・・・!

 
「・・・・・・?」
 
おかしい、とティエリアは思った。
 
いくら待っても、痛みはない。
 
・・・一瞬で死んだのか・・・?
 
そう思い、ふっと目を開けたとき。そこには。
 
「・・・あ・・・あなたは・・・!」
 
さっきまで戦っていた、スナイパーの姿。
 
「ロックオン・・・ストラトス・・・?」
 
ロックオンは、にっと笑うと、ゆっくりと崩れ落ちた。
 
「ロ、ロックオン!」
 
ティエリアはあわててロックオンを起こす。
 
「だ、大丈夫ですか!?どこを、ケガして・・・!」
 
「おいおい、これが大丈夫に見えんのかよ?」
 
ロックオンはそう言うと、上半身だけ起き上がる。
 
「まあいいんだ・・・。ボスは見つけられたしな・・」
 
「え・・・?」
 
事態が飲み込めないティエリアを気にせず、ロックオンは声を張り上げる。
 
「行け、刹那!」
 
その言葉のすぐあと、ヴェーダの体は散った。
 
刹那のセブンソードによって。
 
ロックオンは、そこまで見届けると、満足そうに目を閉じた。
 
「・・・ロックオン?」
 
ティエリアが呟く声が聞こえた。
 
だが、ロックオンの意識は、そこで途切れた。
 



 

「誤算だったよ。まさかヴェーダがやられるとはね」
 
リボンズは、リジェネと二人、ソファに座って呟いた。
 
しかしリジェネは、その言葉を耳ざとく聴きつける。
 
「へえ、君にもあるんだね、リボンズ。予想できないことが」
 
「リジェネ?僕だって、そのくらいはあるよ」
 
リボンズはそういって、軽く微笑む。
 
「そうかい。にしてもひどいよ、リボンズ。ティエリアはこっちにつれてくるって約束だったろ」
 
リジェネの反論に、リボンズはしらじらしく答える。
 
「悪かったね。忘れてたよ」
 
「ははは、珍しい(バーカ、何言ってんだよ。オメーが忘れるわけねーだろ。大方わざとだろ?俺への嫌がらせでわざとなんだろ?)」
 
「・・・リジェネ、脳量子波ダダ漏れだから」
 
そんな井野辺家の、のどかなひととき。
 




 

数週間後―――。
 


 

「いでっ、いでえ!!」
 
「騒がないでください、ロックオン。消毒できない」
 
「消毒とかいらねえよ!もう治ったの!おまえは心配しすぎ!!」
 
ティエリアは、ソレスタルビーイングに入っていた。
 
そして今は、ロックオンの消毒中。
 
「ティエリア、そのへんにしておけ。あまりしつこいと嫌われるぞ」
 
クールに返した刹那は、60/1エクシアを作っている。
 
「心配しよう!おまえは少しは心配しよう!」
 
「・・・・・・」
 
「無視すんな!あと、おまえは今回何も働いてないだろ!報告書にそう書くからな!!」
 
「最後にヴェーダを倒したのは俺だ」
 
「いいとこどりしやがって!!!」
 
刹那とロックオンの言い争いを見ながら、ティエリアは小さく微笑んだ。
 
―――これが、人間か。
 

機動戦士ガンダム00

 

連載

 

戦隊モノパロ

戦隊モノパロ 2

戦隊モノパロ 3                              

戦隊モノパロ 4

戦隊モノパロ 5

戦隊モノパロ アレルヤ編1

戦隊モノパロ アレルヤ編2

戦隊モノパロ アレルヤ編3

 短編

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鍋は水炊きで

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