マイスターズは、渡されたミッションの説明を見てため息をついた。 「何だこのミッションは・・・!」とティエリア。 「俺たちがやる意味があるのか・・・!?」と刹那。 「でも、僕たちがやらないと、スメラギさんが・・・」とアレルヤ。 「しゃーねえ、俺たちでやるしかねーだろ」とロックオン。 簡単に言ってくれる、とティエリアは唇を噛んだが、確かにこれはマイスターズがやらなければ危険なミッションだった。 仕方ない、とティエリアは首を振る。 ミッション、スタートだ。
広くも狭くもない、微妙な広さの控え室に、その5人は集まっていた。 「いいか、このミッション、失敗は許されないからな!!」 そう叫んだのは、ティエリア(偽パイ付)。 「いやいやー、教官殿、そんな格好で言われてもねえ・・・」 苦笑を交えて呟きを漏らしたのは、ロックオン、もとい、ライル。 そういうライルの服装は、スーツになっている。 「ていうか」 ティエリアではない、女性の声が響く。 「私まで、ミッションに参加する必要があるのかな・・・?」 伏せ目がちにそう聞いてきたのは、フェルト。 「私なんか、多分足引っ張っちゃうし・・・」 「何言ってるんだフェルト!!!」 突然のティエリアの大声に、フェルトがびくっと体を震わす。 「今回のこのミッション、流石に僕だけでは無理がある!!しかし!君がいたら、バレる可能性は皆無と言うものだ!!」 そこまでいわれたら、フェルトもやるしかない。 「うん・・・」と小さくうなずいてから、ティエリアに向き直る。 「でもティエリア、なんでティエリアまで女装してるの?」 フェルトの素朴な疑問に、ティエリアはため息をつきながら答える。 「・・・しょうがないだろう。僕がやらなければ、スメラギ・李・ノリエガが・・・」 「スメラギさんが、どうかしたの?」 フェルトの問いに答えたのはアレルヤ。 「うん、なんでもさ、今回のミッションは女の子2人組みがいいらしくて。フェルトが決まった後スメラギさんが、 『じゃああとは私よね。私が出れば、もう完璧でしょ☆』って・・・」 「へえ・・・」 ため息交じりの真相に、フェルトは苦笑で答える。 「大変だったんだね・・・」 「うん、スメラギさんが出ちゃったら、視覚的にたいへ――」 そこまで言ったところで後ろから酒ビンが飛んできて、アレルヤの後頭部を直撃する。 「アレルヤぁぁぁぁー!!!!」 ライルの絶叫のあとに、アレルヤの頭からはどくどくと流れる血が。 「教官殿ォォォー!アレルヤがやべえんだけどォォォー!!」 「さあ、これがミッションプランだ」ティエリアはライルの叫びを華麗にスルー。 「聞けよ!」 ライルのツッコミにも耳を貸さず、ティエリアは役割の説明を始める。 「まず、僕とフェルトが駆け出しのアイドル役。アレルヤは僕の、ライルはフェルトのマネージャー役。 刹那はADだ」 「人選ミスりすぎだろ・・・」 ライルの呟きに、ティエリアがキッと睨む。 「とにかく!ミッションをはじめるぞ!細かいことは王留美がやってくれているから、僕たちは実行するだけだ!行くぞ!!」 控え室を出たティエリアを追って、4人が歩き始めた。
「はいっ、とゆーわけで、今回のゲストは、駆け出しアイドルのこのお二人!!どうぞ!」 グラサンをかけた司会者の紹介を受けて、ティエリアとフェルトは前へ出る。 「はじめましてー!」 「よろしくお願いしますー!!」 ティエリアとフェルトが、眩しいほどの笑顔と一緒に、元気な挨拶をする。 (ティエリア、大丈夫!?声ツラそうだけど!!)フェルトの心の声。 (心配するな!たしかに裏声はキツイが、大したことはない!)なぜか通じているティエリア。 「どうかなさいました?」 「「なんでもないですぅー!!!」」 心配そうな司会者の声を受けて、二人はぐりんと笑顔で振り返る。 その笑顔に安心したのか、司会者はさくさくと番組を進めていく。 「うん、じゃあ、早速ですが、なんて名前のグループなんでしょーかね?教えてくれるかな?」 「「えっ!!?」」 二人同時に固まる。 (どうするのティエリア!グループ名なんて・・・!) (落ち着けフェルト!こういうときに刹那だ!) そう思ってティエリアがAD刹那のほうを見る。 刹那はスケッチブックにマジックで指示を書く。
ティエリアが思いっきり心の中でシャウトする。 おかしいだろ、それは!それ、お笑い芸人だから!どっからきた、それ!! いくらフェルトでも、これは言わないだろう・・・とティエリアがちらりとフェルトのほうを見ると。 「ダウンタウンでーす!!」と笑顔つき。 いや、フェルトォォォォォォォォ!!!! またもやティエリアはシャウトする。 不自然なのを感じろォォ!ありえないぞ、これ!? だがティエリアのシャウトも虚しく、司会者にはこれが通じてしまう。 「はーい、ダウンタウンさんねー。面白いコンビ名だねー。あっ、コンビ名って言っちゃった」司会者が頭をポカリと叩く。 「もう、ご冗談が面白いですねー」ニコニコと笑ってフェルトが答える。 いや、それ冗談じゃないだろ!とティエリアは言おうとしたが、司会者のほうが早かった。 「じゃあ、お名前を教えてくれるかな?」 「いいともー!!」フェルトがこぶしを突き上げて答える。 そういう番組じゃないだろ、とティエリアは思いつつ、刹那に指示を仰ぐ。 フェルトは普通に、「フェルト・グレイスでーす!」と自己紹介したが、ティエリアはそうもいかない。 どうする・・・? そして刹那が掲げたスケッチブック。『ティエ子でーす!』
それを見たとたん、電光石火のツッコミを入れるティエリア(もちろん心の中で)。 ティエ子ですってそれ、無理ありすぎだろ!今時いないわ、そんなやつ! だがしょうがないから、「ティエ子でーす」と笑顔で自己紹介。 すると司会者は、「フェルトちゃんとティエ子ちゃんねー。よろしくねー」と、番組の進行を進めていく。 いや、ツッコめよ。 ティエリアは思ったが、番組は進んでいるわけで。 テ●フォンショッキングとか、100人ア●ケートなどが次々と行われていく。 「んじゃ、100人ア●ケートなんだけど、どっちが言ってくれるかな?」 「ここは私でー」 フェルトがにこにこしながら答える(ちなみに100人ア●ケートの時は、「ピー」音が入っている)。 「んーと、じゃあー」 フェルトは人差し指を立てながら、こう言った。 「ハックしたことがある人ー」「んんんんんんんんん!!!!」 フェルトの言葉と同時に、ティエリアが大きく咳払いをする。 「ちょっ、ティエ子ちゃん、大丈夫!?」 タ●リと名乗った司会者が、あわててティエリアに駆け寄る。 「大丈夫ですぅ~。何か器官に入っちゃったみたいで~」 ティエリアは笑顔で返す。 「うーん、今の聞こえなかったから、もう一回言ってくれるかな?」 「あ、はい、えと、ハックしたことがあ――」「今年のサンダルを買った人ォォォォ!」 フェルトの言葉をかき消すように、ティエリアが大声でアンケートをとる。 そしてそのまま、ティエリアのほうでアンケートが開始。 チャーラララッラララと、聴いたことのある音楽が流れて、モニターに映し出された数は。 「1ィィィィィィ!」 タ●リさんが、ものすごい大声で祝福する。 「よかったね、1人だよ!ティエ子ちゃんすごいね!!ささ、ストラップどうぞ」 「ありがとうございます~」 とりあえずこんなんで、ダウンタウンの出演は終わった。
ティエリアとフェルトは、カメラがある位置、つまり、ちょっと暗めなところで収録を見ていた。 「・・・ティエリア、さっきのは、ミッション成功したの?」 「聞くな。多分していない」 ティエリアは、仏頂面でそう返す。 くっ・・・。スメラギ・李・ノリエガが、もう少し気の利いたミッションプランを用意していたら・・・。 ティエリアがそう考えながら、唇を噛んだ時。 「はーい、今日登場するのはこのお二人ー!大人気芸人、『ビリとグラ』でーす!!」 キャー!という歓声の中現れたのは!
「はーい、グラでーす」 「ハム仮面だろ!!!!」 ビリー・カタギリと、グラいや、ミスター・ブシドーだった。 二人が挨拶を終えたとたん、電光石火の速さでツッコんだのは無論、刹那である。 そしてとのツッコミを聞いたグラハム・エーカーはというと。 「誰だね、今のツッコミをしたのは!私はグラハム・エーカーではない!ミスター・ブシドーだ!」 「いや、グラでーすって言ってただろ」とライルのツッコミ。 「それからツッコミは、『ハム仮面やろ!』と、関西弁でやらないか!」 「どこ気にしてんだよ!」またライルのツッコミ。 そこまで言ったあと、グラがふと、真顔になった。 「ん・・・?今の声、どこかで聞いたことあるぞ・・・。そうだ、この声は・・・」 小さく呟き、そして、 「あのときの、少年の声だ!!!」 と、刹那に襲い掛かる。 「ぃやっ、やめろおおおおおおおおおおおお!!!!!」 スタジオ中に、AD刹那の悲鳴が響き渡る。 「んっふふふふふふふ、いやだと言われたら、さらにやりたくなるのが人間というもの・・・。んふふふふふふふふ、しょしょ、少年んん~~~」 もうただの気持ち悪い人と成り果てたグラは、刹那に抱きついてブツブツと呪文のようなものを唱えている(ようにしか見えない)。 ぎゃああああああああ、離せ変態ぃぃぃぃぃぃぃ―――。 刹那の声がむなしくスタジオに響くが、誰も助けに行けない。 ・・・だって、あそこに行ったら、絶対俺、死ぬべ。 みんなの思考が一致する。 しかしそんな時。 「アレルヤ」 ティエリアが、傍らに立っていたマネージャーアレルヤに声をかける。 「何?どうしたの、ティエリア?」 すぐさまアレルヤは反応する。 「アレルヤ、おまえ、刹那を助けてこい」 「うん。 ・・・え?」 ティエリアの言葉に一度は頷き掛けたものの、あまりの内容にティエリアを二度見してしまうアレルヤ。 「ティエリア、今なんていった?」 「刹那を助けて来い、と言った」 「誰に?」 「おまえにだ、アレルヤ」 「・・・無理無理無理無理無理無理無理無理!!!!」 アレルヤは顔を引きつらせて叫ぶ。 「できるわけないでしょ、ティエリア!僕あの人怖いよ!!」 「泣き言を言うな!!!!」ティエリアはくわっとアレルヤに喝を入れると、小さく呟く。 「・・・まあ、超兵だし、重傷を負っても何とかなるだろ」 「ちょっと待ってティエリア!今聞こえた!今聞こえたよ、ひどい言葉が!ていうか、超兵でもなんでもできるわけじゃないよ!?」 「大丈夫だ!俺はおまえを信じてる!」 「今言われても困るんだけど・・・」 アレルヤが困ったように眉を寄せる。 「ティエリアが行っておいでよ。イノベイター・・・いや、イノベイドなんだし」 その言葉を聞いたティエリアが、(嘘)泣きをしながら叫ぶ。 「ひどいアレルヤ!俺に行かせる気か!?」 「えっ・・・いや、」 泣かれてしまうと、アレルヤも行かずにはいられないわけで。 だがまだ行くことに渋るアレルヤを見たティエリアが、耳元で何かをささやく。 そしてその次の瞬間、アレルヤの目が見開かれ、 「やってやるぜええええええ!てめーを警察に突き出すぞ変態!この性犯罪者がァァァ!」 猛ダッシュして刹那を助けに行くハレルヤへと変貌した。 それを見送りながら、遠い目をしたらいるがティエリアに聞く。 「・・・ティエリア、おまえ、何言ったんだよ」 そう聞かれたティエリアは。 「フッ・・・。なにかな」 優雅にそう返したと言う。
「グラキック!」「ぐぼぁぁ!!」「グラパンチ!」「げほっ!!!」「グラチョップチョップチョップー!!!」「ぐああああぁぁぁぁぁ・・・」 ハレルヤは、ものの1分でやられてしまったわけで。 最後のハレルヤの声は消え入りそうな大きさになり、結局床に伸びてしまった。 「あーあ・・・。こりゃ完全に伸びてんな」 ライルがアレルヤをつんつんとつつく。 「どうすんだよ、教官殿。アレルヤ、ここまで頑張ってくれたぜ?」 そう言ったライルの表情は、なんだか優しいようにも見えた。 優しいなー、オレ。アレルヤとティエリアがいい雰囲気になるように気を使うなんて。 うんうんと頷いたライルの耳に、信じられない言葉が聞こえる。 「フン、役立たず」 「え、いや、教官殿?」 何言ってんの、この人?とライルが目を丸くさせる。 「アレルヤの、役立たず」 ティエリアはそういい残すと、すたすたと歩き出した。 「・・・・・・」 教官殿って、キッツー。 ライルが顔を引きつらせながらティエリアを見送っていると、 「へへ・・へ・・・ティエリア・・・」 アレルヤがグラにも負けないほど笑っていた。 ・・・コイツら、お似合いじゃねえか。 ライルは心の中で呟いた。
その後、刹那を助けたのは、事もあろうかティエリアだった。 ティエリアは刹那に抱きついていた変態を後ろから撃ち、「いい加減にしろ。次やったら、君を後ろから撃つぞ」と言い残した。 「・・・もう撃ってんじゃねーか・・・」 ライルの呟きは、最もだよね。 |
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