この世界には、悪の組織というものが存在する。
大抵の人は気づかないと思うが、環境破壊をしたり、地味な嫌がらせをするのが悪の組織である。
そしてこのままでは、世界は悪の組織にのっとられてしまう。
そこに立ち上がったのが、ソレスタルビーイング。
ソレスタルビーイングは今日も、世界を守るために活躍している。
「ロックオン」
「あ? なんだ?」
「上のあれ、ウザい」
「・・・・・・」
フッ、困ったものだ。 刹那がそんなことを言うとはな。
だがオレは知っている。 それが刹那の照れ隠し――
「だからそれがウザいって言ってるんだ」
刹那はそういうと、手元にあったニッパーをロックオンに投げつけた。
「ちょっ、刹っちゃん!それニッパー!ニッパーだから!! いたっ、超痛いんだけど!!」
ロックオンは涙目で刹那に講義をするが、刹那はさして気にした様子もなく再びガンプラを作り始める。
「大体刹那あ!おまえなんで任務中にガンプラ作ってんの!?ミス・スメラギにチクるよ!?」
「言えるもんなら言ってみろ。ただし、おまえがこのあいだ飲んでた酒って、スメラギのだろ」
「うっ、裏切り者ォ!」
「裏切ってないだろ」
「うわあああああん!!」
ロックオンはソファの上でゴロゴロしながら喚いている。
だがすぐに、アホな事を言い出すのが、ロックオン・ストラトス。
「あー、なんて言うのかなあ、オレなんか今、扇風機に向かって「あー」って言いたい!!」
「・・・今夏じゃないからな。ていうかここに扇風機ないから」
「じゃあ電気屋行ってくる!!」
「おー、行ってこい行ってこい。多分この季節、どこにも扇風機置いてないから」
「うわあああああん!!」
途中で目をキラキラさせて立ち上がったロックオンだったが、またソファにうつぶせになって泣き始める。
「あー、もうなんかヒマだしよー。いつまで悪の組織の居場所突き止めてんだよ。
クリスなら一発だろ」
「そういうこと言ってる間に、通信きてるぞ」
刹那がテーブルにおいてあった端末を、ロックオンに渡す。
「ん~・・・? あ、ミス・スメラギか」
ロックオンはやっとソファから起き上がって、ボタンを押す。
「おう、ミス・スメラギ。どうした?」
『どうしたじゃないわよ。 やっと悪の組織の居場所を割り出せたわ』
「・・・やっとかよ」
ロックオンのセリフはそっけないが、口元には笑みが浮かんでいる。
『悪の組織の居場所は・・・まあ、詳しいことは端末見といて』
「投げやりだな、オイ」
『しょうがないでしょ。時間無いんだもの』
「・・・は? 時間が何?」
ロックオンが少し顔をゆがめた時、スメラギの後ろからクリスティナの声が聞こえてくる。
『スメラギさあーん!あたしもフェルトも準備できましたよー!早く行きましょ!』
『あっ、クリス!今ロックオンに通信中なの!もう少し静かにして!!』
『えっ!?す、すいません!』
『気をつけてよ!内緒なんだから!!』
「っておーい。ミス・スメラギ。アンタの声も丸聞こえだぞー」
『えっ!?』
スメラギの表情が、一気にこわばっていく。
「ほおほお、なに、ミス・スメラギ。アンタ、バカンス行くつもりだったんだな?」
『そ・・・そんなわけないわよ』
だが言葉とは裏腹に、スメラギの目線は中を泳いでいる。
「そーかそーか、楽しそうでいいなあ・・・。 っていいわけねーだろ!!」
ロックオンはそういうと、乱暴にスイッチを切った。
「・・・ロックオン」
「なんだ、刹那」
ずっとスメラギとロックオンのやり取りを見ていた刹那が口を開く。
「・・・端末が壊れる」
「・・・・・・そっちかよ」
ロックオンのツッコミは、宙に消えた。
ここは悪の組織、本拠地。
悪の組織のボスは、ヴェーダである。
そして、このヴェーダの部屋に来ている一人の少年・・・。
「ティエリア。今日はおまえに頼みがあってきてもらった」
「なんでしょう、ヴェーダ」
「ふむ。 なんでも、ソレスタルビーイングがここを叩こうとしているらしいからな。
・・・始末できるか?」
ティエリアはフッと笑うと、ヴェーダの目をまっすぐと見て話した。
「そんなことでしたか。 すぐに終わらせてきます」
「頼んだぞ」
・・・ソレスタルビーイングを叩く・・・ ヴェーダの頼みならば、僕は何でもしよう。
それが、僕の存在理由なのだから。
そして、2人の会話を、外部から見ていたものがいる。
それは、井野辺家である。
「ねえねえリボンズぅ~、ホントにソレスタルビーイングを叩くのお?」
「ああ。本当だよ」
「へえ~・・・。あたしにやらせてくれればよかったのに」
「君はまた今度だよ」
井野辺家は、ヴェーダを掌握している組織である。
つまり、今のヴェーダは、もうヴェーダではないわけなのだが・・・
「君だけなんだよ、知らないのは。 ティエリア・アーデ・・・・・・」
ロックオンと刹那は、言い争いをしつつも悪の組織の本拠地へ向かい、
ティエリアは、ソレスタルビーイングを叩くために動く。
井野辺家は、ヴェーダを掌握し、ソレスタルビーイングを消滅させようとたくらむ。
欲望と陰謀がうごめく中で、いったい勝利するのは誰なのか。
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