「刹那、いい?わかった?オッケ?もう間違えない?」
「ああ、ロックオン。わかった。オッケ。もう間違えない」
ロックオンと刹那は最終確認を終えると、ティエリアのほうへ向き直った。
「ああ、ごめんねえ、ティエリアちゃん。待っててくれるなんて、いい子だねえ」
「ロックオン、オッサンくさい」
「あと俺はちゃんじゃないです」
刹那とティエリア、両方に冷たくされ、ロックオンの目に涙が溜まっていく。
「・・・ロックオン、泣くな」
「泣いてない、泣いてないからね。泣いてないからね、オレ。
そんな二十歳後半で泣くなんてありえないからね、オレ。
そんな十代の子に冷たくされて泣くなんてありえないからね、オレ」
ロックオンは後ろを向いてメソメソ泣いていて、刹那はよしよし、とやっている。
その傍らでティエリアは、(ヴェーダ・・・、これは、攻撃してはいけないのでしょうか・・・。
これ、攻撃しちゃいけない空気なんでしょうか・・・・・・)と、冷たい表情を変えずに考えていた。
そしてロックオンは、その表情を勘違いしてしまう。
(やべええええ、やべえええええ!!あの子怒ってる?あの子怒ってるよ!!)
ロックオンはそう思い、顔を青くすると、ティエリアに向き直り、
「ちょっとティエリアちゃん!タイム!いい?タイムね!!!」
「え、ちょ」
ロックオンはティエリアの答えを聞かずに、刹那の肩をつかんで後ろを向く。
「おい刹那。あの子怒ってるよね。あの子怒ってるよね、どうしよう、誰のせい?」
「・・・怒ってるのか?ていうか、怒ってるならおまえのせいだろ」
「えええええ!!オレ?オレなの!? あっ、わかった!きっとあの子、今日生理なんだろ!!」
「下ネタやめろォォォ!ロックオン、おまえ、これを見てる人をドン引きさせる気か?
女性の方・・・いや、男性の方?減るから!」
「え~・・・」
「あれだろう、きっと。ガンプラで作れないものがあったんだろう」
「ここの管理人かよ!あれ?ブーメラン状のとこ?黄色いとこ?管理人そこ壊したんだよ!!」
「管理人の実話はいい」
「え、でも」
「やめろ!もうしゃべるのやめてくれ!!」
刹那は悲鳴のような声を上げると、ロックオンとの会話を終わらせた。
「すまなかったな。 正直に待ってくれてるなんて、おまえ案外いいやつなんだな」
刹那はロックオンからティエリアのほうに向き直り、話を始める。
「というか、早く勝負を始めたほうが良くないか?もうこれで3話目だぞ」
ティエリアの最もな意見に刹那は、「ああ、そうなんだ」と深刻な顔でうなずく。
「というわけで、今すぐ勝負を始めてくれ。いいか?」
「ああ。かまわないさ」
「おーい、ロックオーン!これから戦うぞ」
「いや、おまえらホントに敵同士?なんか仲良しさんな会話だったよ?」
ロックオンは呼ばれて会話に入るなり、そういった。
だが刹那は表情を変えずに、「そう言うな、ロックオン。早く勝負を始めよう」という。
「まあ、そのとおりだけど・・・。刹那、おまえ、武器持ってきたか?」
ロックオンは刹那の耳元でささやく。
そしてそんなことを言われた刹那は、「ああ、持ってきている」と、武器を出す。
「ほら、ニッパー」
「刹那ぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
刹那が笑顔で出した武器に、ロックオンはツッコミを入れる。
「刹那、おまえ、おやっさんに武器買ってもらっ・・・違った、作ってもらっただろ、セブンソード!」
「・・・壊しちゃった・・・」
「なんでえええ!?先週だろ、もらったの!どんだけ聞かん坊?」
ロックオンと刹那の、おまえら打ち合わせしてたんじゃねーの?というような会話の中ティエリアは、
いつ勝負が始まるんだろう、と考えていた。 |